2011年夏、北極圏への旅

今、野生は?・・・ アラスカを縦に貫くオイルパイプラインに沿って造られた、北極海油田基地プルドーベイまでの道のり、ダルトンハイウエーを行く。



≫もの乞うオオカミ

いつも、アラスカを旅すると、友人たちが、口すっぱく言うことがありました。それは・・・、

「人に近づいてくるオオカミには、気をつけろ。人を恐れなくなったオオカミは、もはやオオカミではない。そういったオオカミのほとんどは、狂犬病にやられている。病気なのだ。けっして、近づいてはならない」

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冬のアラスカ、私はオオカミの群れがムース(ヘラジカ)を狩った現場を発見したことがあります。その晩にさっそく、友人と私は、オオカミの罠を仕掛けに行きました。近年、オオカミの数が多くなり、ムースが減っていたのです。

彼らは、鋭い嗅覚と聴覚、俊敏な運動神経をもち、けっして私たちの目につく所にはやってきません。だからいつも、私は気配だけを感じていました。
それが、本来のオオカミの姿でもあるのです。

この夏、私ははじめて、オオカミに出会いました。北極海にある石油基地までの道すがら、突然、道路に出てきたオオカミと目が合ったのです。
そのオオカミは、何か食べるものを恵んでほしい・・・とばかりに懇願するような目で、車のまわりを歩き回っていました。狂犬病を発症しているのかは定かではありませんが、まるで、犬のように近づいてくるそのオオカミは、たぶん一度、この道を行き交う車から、餌をもらったことがあるのでしょう。


野生の大地を貫いた、人間による開発の道。そのわきで、こうした野性本能を失った動物が増えてきているのです。



アラスカでは、「野生動物動物を守ることは、動物を管理することではない。・・・人間を管理することだ」と言われています。
全ては、人間の問題なのです。





道路整備の工事現場に出てきた、ツンドラのオオカミ。
まるで、迷い犬のよう。


アラスカでは、餌付けされてしまった野生動物は、全て、射殺対象となります。
このオオカミも既に、野生動物管理事務所にレポートが出されていました。